
オールスター後に大谷翔平(エンゼルス)のホームランのペースが上がってこない。前半戦に松井秀喜の持っていた日本人最多本塁打記録(31本)を早々と更新するなど、怒涛の勢いでホームランを重ねていただけに気がかりな部分もある。
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調子が上がってこない理由としては疲れなど様々なことが考えられるが、現地アメリカに「Homerun derby curse」という言葉があるのをご存知だろうか。直訳すると「ホームランダービーの呪い」という意味から想像はつくが、ホームランダービーに出場した選手が、後半戦に調子を落としてしまうというジンクスのようなものである。
これまでも多くのスター選手がこのジンクスにハマってしまったと現地では言われている。よくこの呪いの例として挙げられるのが、2005年のホームランダービーで優勝したボビー・アブレイユ(当時フィリーズ)だ。
アブレイユはこの年、打率.307、18本塁打、OPS(出塁率+長打率).954の好成績を引っ提げホームランダービーに出場し、圧倒的な強さで優勝。後半戦もその勢いのままに活躍が期待されたが、オールスター後は73試合でホームランが6本にとどまり、OPSも.787まで下降した。また翌2006年のダービーで2位となったデビッド・ライト(メッツ)も、前半戦は20本塁打、OPS.961をマークしていたが、後半戦は67試合で6本塁打、OPS.844と大きく数字を落とした。
実際にこの後もホームランダービーに出場した選手が成績を落とすという例は数多くあるが、このジンクスは本当なのか……。公式サイトもここ数年の傾向などを基に「ホームランダービーの呪いは本当にあるのか」について分析している。
公式サイトが触れているデータで、後半戦の成績下降が顕著なのが2017年。同年に出場した8選手の前半戦と後半戦のOPSを比較すると以下のようになっている。※カッコ内は当時の所属チーム
■アーロン・ジャッジ(ヤンキース) 前半戦/1.139 後半戦/.939
■ミゲル・サノ(ツインズ) 前半戦/.906 後半戦/.742
■ジャスティン・ボーア(マーリンズ) 前半戦/.923 後半戦/.849
■マイク・ムスターカス(ロイヤルズ) 前半戦/.863 後半戦/.798
■コディ・ベリンジャー(ドジャース) 前半戦/.961 後半戦/.901
■ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ) 前半戦/.933 後半戦/1.095
■チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ) 前半戦/.950 後半戦/1.064
■ゲーリー・サンチェス(ヤンキース) 前半戦/.850 後半戦/.896
スタントン、ブラックモン、サンチェスの3人を除いては、後半戦にOPSが下落。ジャッジは.200、サノは.164と大幅に数字を下げている。また、2018年に出場した8選手を見ても、5人がOPSを下げ、1人が横ばい、残りの2人のみが数字を上げただけ。2019年も4人がOPSを下げ、1人が横ばい、残り3人が数字を上げただけにとどまっている。これを見るとホームランダービーに出場した選手は後半戦に成績を下げるというジンクスは本当のようにも思える。