“ARIGATO”。電光掲示板に1964年と同じフォントで映し出され閉幕。日本から世界に対しての感謝。この「ありがとう」こそが、僕がこのオリンピックで最も強く感じた言葉だった。世界から日本に対しての「ありがとう」。運営にあたり、開催してくれて「ありがとう」。ライバルの選手に対して素晴らしい戦いを「ありがとう」。ボランティア、自衛隊の皆さんに対して笑顔を「ありがとう」。無観客という状況を受け入れテレビで応援してくれていた皆さんに「ありがとう」。人と人との繋がりに「ありがとう」がいっぱい詰まっていた。
今回のオリンピックが特別だったからこそ、世界からの「ありがとう」が際立って感じられた。おもてなしの心、日本の想いは世界のアスリートを通じて世界中に伝わっていた。この状況下でやり終えることができたことへの誇りを胸に、これからも「応援の力」を信じて邁進していきたい。(寄稿)
まつおか・しゅうぞう/テニスプレーヤー、スポーツキャスター。1967年、東京都生まれ。日本人男子62年ぶりのウィンブルドンベスト8に進出するなど活躍。オリンピックにも3回出場。キャスターとしても今回の東京で12回目の五輪取材を果たす。著書に『応援する力』(朝日新書)など多数。
※週刊朝日 2021年9月3日号