問題のある言動によって炎上を引き起こす「おじさん」は、河村氏に限らない。ここ最近でも、ボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈選手に対して「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技、好きな人がいるんだ」などと番組内でコメントした張本勲氏(81)や、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性と言うには、あまりにもお年だ」などの女性蔑視発言を繰り返した森喜朗元首相(84)など取り上げればキリがない。似たような「おじさん」は、われわれの身近にもいるだろう。

 必ずしも「おじさん」だからこうした言動をするとは限らないが、実際に不快な言動の主体が「おじさん」である確率が高いことは実体験としても感じるところだ。その理由について、鈴木さんは、「おじさん」の特徴に「自分が変わる選択肢がない」からだと語る。

「おじさんは、積極的に自ら進化の機会をうかがう性質はなく、自分の存在そのものを維持したまま、逃げ切ろうとする生き物なのです。ゆえに(問題発言などを)謝罪したとしても、基本的に自分が正しくて相手が悪いと思っている。特に公権力を持っている人ほど、世界は自分が築き上げてきたのだと思い込んで『俺ルール』で生きようとします。自分が変われば、相手との関係や社会が改善されるという考え方がそもそもないのです」

「大人力」に関する著書が多数あるコラムニストの石原壮一郎さんは、失言を繰り返す「おじさん」の生態についてこう分析する。

「おじさんが自分で面白いと思っている発言は、大体が世間からみれば“失言”なんです。でも、周りが愛想笑いしたのを、プラスの反応として真に受けてしまう。河村市長と張本氏、森氏だけでなく、世の中のおじさんの9割9分はこれに該当するでしょう。もはや『おじさんという病』といっても過言ではありません」

 だが「おじさん」の振る舞いは決して人ごとではない。河村市長のことをSNSなどで「許せない」と糾弾している人は、“ミニ河村たかし″になる可能性もある、と石原さんは指摘する。

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