ただし、世界には、まだ1度も接種を受けていない人が途上国を中心に大勢いる中、WHOはブースター接種を始めないよう要請している。
デルタ株は、ワクチン接種後に感染する「ブレークスルー」が起きやすい可能性がある。
国内ウイルスのほぼすべてがデルタ株のシンガポールでは、8月24日現在、過去28日間の新規感染者2127人のうち1039人(48.8%)がワクチン接種を完全に終えた人、536人(25.2%)はワクチンの接種を部分的に終えた人だった。保健省によると、ワクチン接種を終えていない感染者の中では、過去28日間で重症化したり死亡したりした比率が8.7%だったのに対し、接種した人では1.6%だった。
シンガポールはブルートゥースを使った接触確認アプリが住民の9割以上に普及しており、接触者を徹底的に探し出して検査する。このため、過去28日間の感染者数は、無症状の人も含め、現実に起きている感染をかなり網羅的に把握した数字だと考えられる。
「ワクチンを打った人もデルタ株には感染します。重症化はしにくいですが、感染源となって他の人にうつす可能性もあります。社会には医学的な理由でワクチンが打てない人もいますし、まだ承認されていない子どもたちも打てません。だから、打てる人はなるべく早く打ち、重症化しないようにして、医療体制を守っていくしかありません」
河岡特任教授はこう強調する。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2021年9月6日号より抜粋
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