■心筋炎は感染後も恐れ
30代と比較した場合の各年代の重症化率は、10代が0.2倍、10歳未満は0.5倍(厚労省予防接種・ワクチン分科会資料)。国内では8月27日現在、新型コロナで亡くなった20歳未満はいない。
「小児が重症化したケースは、新型コロナ感染に伴う発熱などによって合併症を誘発し、一時的に重症に分類されるパターンが多いと聞いています」(中野教授)
ワクチン接種のリスクはどうか。アンケートでは接種を希望する人も「副反応への懸念」や「長期的な健康への影響」を挙げる人が多かった。
海外の治験などでは子どもを含む若年者はワクチン接種後の発熱や接種部位の痛みなどの副反応の出現頻度が高い。若年男性を中心にワクチン接種後の心筋炎や心膜炎の発症も報告されている。ただ、心筋炎や心膜炎は新型コロナ感染後も発症することがある。
日本循環器学会は7月、ワクチン接種後の心筋炎や心膜炎の発症率は、新型コロナ感染後に起きるそれらに比較して極めて低いことなどを挙げ、「新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る」とする声明を発表している。一方、長期的な健康への影響は未知といってよい。
子どものワクチン接種をめぐっては、「12歳の壁」を指摘する声もある。
都内のフリーランス女性(47)は、8月中旬に2回目のワクチン接種を済ませた直後に発熱。全身がだるく、家事や仕事が2日間、手につかなかった。副反応のつらさを体験し、娘の接種への不安が頭をよぎった。
「もし娘が2日以上、寝込むことになったら、受験期なのに大変なことになる」
娘は中学受験を控えた小学6年生。11歳だ。新型コロナのワクチン接種対象は「満12歳以上」。1月生まれの娘が接種できるのは早くても来年1月になる。
「12歳になるのが1月なので、1回でも接種し、受験に臨むことも可能ですが、そうなると受験直前の時期に副反応が出てしまうリスクがあります」