これまで平田の試合は常に家族が見守ってきたが、今回は入国が制限され、初めて家族が同行しない戦いとなる。
「今回家族がいないっていうところが一番大きいかなと思います。今まで中国とかジャカルタとか、どこにでも来ていたんですけど、今回は会場に入れない、入国もできないっていうことなので、家族なしでの戦いです(※兄の直樹も10月に試合を控えており今回はセコンドにつかない)。
毎試合、必ずリングへ入る前に母親と父親の姿を見て、目を合わせてから入るっていうのがルーティンじゃないけど、柔道の頃からそれがあって。家族がいるだけで、安心感というか、いつも通りな感じがするんです」
今回は家族の代わりに公私とものパートナーである山本アーセンが同行、試合前のサポートとセコンドを務める。恋人の存在についても平田は特段隠し立てはしない。
「隠しても意味がない、じゃないですけど、全然隠さなくていいかなっていう感じなので、いつも通りな感じです。そこに対して思うことは、日本の人たちはあるかもしれないですけど自分的にはあんまりなくて、別に何を見られてもそんなに困ることはないです。周りに『それはダメだよ』って言われても、自分がこうしたいと思ったらこうしようっていう感じですかね」
様々な声が届かず、力次第で思いのままに振る舞える試合の場は、平田にとって最も自由な空間であるのかもしれない。
「きっとこれも試練だと思っているので大丈夫です。しっかり試合で見せられるよう頑張ります」
試合後は帰国まで1日のオフがあり、勝って朝昼晩好きなものを食べるのだと平田は笑った。(文/長谷川亮)