早川医師は「たんぱく質の構造が似ている」という前提がそもそも間違っていると話す。
「似ているところはほとんどありません。すでに多くの臨床例があり、また、接種した若い女性が不妊になるという問題も報告されていませんので安心して大丈夫です。ちなみに接種後の授乳も、母乳の中にワクチン成分は出てきませんので問題ありません」
■何年か後になって重い副反応が出る
10年、20年後にもっと怖い副反応が出るのでは。そんな不安に駆られる人もいる。だが、谷口医師は「非常に考えにくい」と話す。
「一般的にワクチンの副反応は6週間以内に起こります。mRNAワクチンでも、接種したものが長く体の中に残ることはなく、分解されたりしてすぐになくなってしまう。長期的なスパンでの副反応は考えにくいです」
■ワクチンが効かない体質の人がいる
効かない可能性があるから、打っても安全とは言えない。そんなロジックも出回るが、谷口医師はこう解説する。
「病院でも接種後に研究の一環として希望者の抗体価を調べますが、ウイルスから守られるであろう抗体価を超える上昇を、全員に認めています。ほとんどの方にワクチンは効果があると考えてよいと思います。効かない体質の方がいる『かも』しれませんが、ごくわずかでしょう。そこを気にして接種を避けるというレベルではありません」
早川医師も「抗体価上昇に個人差はありますが、まったく上がらず、効かないということはありません」と同様の見解だ。
「例外は、特にリンパ球系の白血病などでリンパ球を抑える抗がん剤治療を行っている人。抗体価が上がりにくいという報告はあります。それ以外は抗がん剤治療中の方にも抗体はできます。抵抗力が落ちている人は、むしろワクチンを接種した方がいいと思います」
■アレルギーがある人は接種すると危険
接種を躊躇する理由になりがちなアレルギー。谷口医師、早川医師はともに「大丈夫」と話す。
「接種後にアナフィラキシーを起こした方は、食品や医薬品など何らかのアレルギーのある方が多いという米国のデータはあります。ですが日本で8月、厚生労働省の副反応検討部会が発表した結果はファイザー製で100万回の接種でアナフィラキシーは4件。接種会場では万全の態勢で臨んでいて、すぐに対応できるので過度な心配はいりません」(谷口医師)
「特定のものに対して起きるのがアレルギー。あり得るとすれば、コロナワクチンに使用されている添加剤『ポリエチレングリコール』など、『特定のワクチンの特定の成分』に対するアレルギーがある人は『要注意』とされていますが、それ以外にアレルギーを持つ方は、とくに問題ありません」(早川医師)