■お酒を日常的に飲む人は抗体ができにくい
これは多くの呑兵衛(のんべえ)が気になるところ。谷口医師は言う。
「私たち千葉大学の研究では、お酒を日常的に飲んでいる人は接種後の抗体価が若干ですが低い、というデータがあります。ただコロナウイルスから守られるだけの抗体価はじゅうぶんにあり、効果がないというわけではありません。接種の前後でお酒を控えてくださいというようなアナウンスは、そういう研究結果を出した千葉大学でも出していません。特に気にすることではないのではと考えます」
■副反応が軽い人は抗体がつかず感染しやすい
副反応に備えて解熱剤も買って準備万端だったのに、腕の痛みもだるさも発熱もほぼなし。「あれ? これ効いてるのかな」とつい思ってしまうが……。
「副反応の質、有無にかかわらず、じゅうぶんな抗体はついていることが、現段階での知見として言えます」(谷口医師)
「腫れたり痛くなったりする局所反応と、抗体ができることはまったく別の反応。全身反応についても、発熱しなければ抗体がつきにくいということはありません」(早川医師)
■ワクチンを接種後に亡くなる人がいる
ワクチン接種後の死亡者の報告数は厚労省が発表する。それを使って不安を煽(あお)ろうとする人たちが存在するという。接種直後に死亡報告が集中していることから「直後にこんなに死んでいる」と強調し、グラフと共に拡散するのだ。
「もちろんワクチン接種後のワクチンと関係ない自然死も発生します。接種後に時間が経過すると、死亡を報告しなくなる傾向がありますので、『因果関係があることの証明』にはならないでしょう」(谷口医師)
さて、私たちは惑わされないために、何に気を付ければいいか。谷口医師は「情報の比べっこを」とアドバイスする。
「SNSであれば実名で情報を発信し、身分もきちんと明かしている人を中心に情報を得ていただく。かつ、ある1カ所からの情報を全面的に信じるのではなく、それを比べっこする。私たち『こびナビ』からの情報だって、『一つの情報』です。見比べて、自分で考える。それがいちばん大事だと思います」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2021年9月6日号