■一度感染した人が打つと重い症状が出る
谷口医師はコロナに感染した多くの人に接種を進めている知見から「あり得ません。まったくの誤情報です」と言い切る。
「感染経験がある人も、むしろ打つべきです。感染してもその株に対する抗体しかつかず、次の変異ウイルスに曝露すると感染することがわかっていますから。加えて、ワクチンを打つと、感染したことでつく抗体とは比べ物にならない抗体価の上昇が見られます。一部で言われる『ワクチンを打つより感染してしまった方が、抗体がしっかりできる』も明らかな誤情報ですね」
早川医師もこう指摘する。
「感染しても抗体はできますが、逆に感染を増強する抗体(感染増強抗体)もできてしまう。コロナウイルスを防御するものを作れる『ワクチン接種による抗体』の方が間違いなくいい。明らかなデマです」
■コロナとインフルエンザワクチン同時接種は危険
厚労省は「コロナワクチンを打つ前後2週間は他のワクチンを打ってはいけない」としている。だが米CDC(疾病対策センター)は「同時に打っても問題なし」とする。
谷口医師は「厚労省もCDCに準拠した推奨に変更しては。私は同時に打っても問題ないと考えます」と言う。
早川医師はこう付け加える。
「複数のワクチンが互いに干渉して抗体ができにくくなると言う人もいますが、臨床的には考えにくい。強いて言えば、どちらの副反応かわからないので日はあらためた方が、とも言えますが、基本的にまったく別のワクチン。少し間を空ければ問題ないです」
■ワクチンで遺伝情報が書き換えられてしまう
谷口医師によると、まだmRNAワクチンが珍しかった今年1月ごろ出回った「初期の典型的な誤情報」だと言う。
「mRNAワクチンは脂(脂質ナノ粒子)に包まれていて、筋肉注射されることで体の細胞の中に入っていく。遺伝情報が書き換えられるには、mRNAが核の中に入り、人間のDNAの中に組み込まれなければならないのですが、私たちの体の中はそんなことが起こらないシステムになっています。誤情報と言えると思います」
■接種後の解熱剤でワクチンの効果が減る
接種しても、異なる薬を飲むことで台無しにならないか。そんな疑問に早川医師は「まったく問題ありません」と話す。
「ただ、接種に備えて事前に解熱剤や鎮痛剤を飲むのはNGです。薬には副作用があり、また実はワクチンのアナフィラキシーショックのリスクよりも、鎮痛剤のリスクの方が高い。そんなことをわざわざ『ワクチンの副反応予防』のためにする必要はありません。『接種前に水をたくさん飲むと副反応がやわらぐ』ともよく言われます。私はあまり関係ないのではと考えています」