ニュース番組のコメンテーターとして活躍していたご経験もある憲法学者・木村草太さん木村さん。作家・林真理子さんとの対談では、憲法改正についてわかりやすく、教えてくれました。
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林:私、この夏は、木村先生にお目にかかるので、本を読んで法律について勉強しようと思ったんです。ただ、そういう学術的、専門的なことって、一般の人が急に学ぼうと思い立っても、難しいですよね。ベースとなる知識がないと、なかなか頭に入ってこなくて。
木村:なるほど、そうかもしれませんね。
林:先生は、そういう一般の読者にもわかるように、法律のことをかみ砕いた本を書かれていますね。子どものために書かれた入門書『ほとんど憲法 小学生からの憲法入門 上・下』とか、『憲法学者の思考法』などは、私にもわかりやすくて、おもしろかったです。
木村:読んでくださってありがとうございます。
林:現在、東京都立大学の先生でいらっしゃいますね。いまの法学部の学生の多くは、大学に入って初めて憲法の条文に触れるんじゃないですか。
木村:はい、高校の公民や政治経済の授業でも、条文はほとんど読まないのではないかと思います。
林:法学部の大学生は、初めて読んだ憲法の条文に感動して……というふうになるんですか?
木村:条文そのものを読んで感動する人も中にはいると思いますが、法学部で学ぶことは、おもに「条文をどう使うか」なんです。ですから、「実際にはこう使われるのか」ということに感動する人のほうが多いかもしれませんね。
林:なるほど。かつて小学館の『日本国憲法』(初版1982年)がベストセラーになったことがありますよね。子どものときにお読みになったとか。
木村:はい。私が手に取ったのは90年代だったんですが、印象に残っています。
林:たしか、100万部を超えていたと思います。
木村:1文字も新しく書いていないのに、その数字はすごいですね!(笑)
林:ハハハ、そうですよね。ビジュアルがきれいな本だったと思うんですが、憲法の条文に物語を与えた、というのが売れた要因のひとつかもしれません。お書きになった本を読むと、憲法に血肉を与えて、私たち一般の読者にも、わかりやすいように解説してくれていると感じました。憲法をこう解釈すれば、人々の幸福につながるんだよ、ということを。