
柳原教授らは国に対し、市販されている抗原検査キットで精度の高いものについてはOTC(Over The Counter)医薬品に指定するよう要請している。OTC医薬品とは医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアなどで「要指導医薬品」や「一般用医薬品」として購入できる医薬品だ。
「OTC医薬品と認められれば、『研究用』の表示はなくなります。それを目安に店頭で購入できれば、一定の安心につながると思います」(柳原教授)
だが現段階では、日本製だから大丈夫とも一概には言えない。検体の採取方法が品質を見極める一つの手掛かりになる、と柳原教授はアドバイスする。
「手軽に使えることをアピールするため、『唾液で検査可能』とうたっている商品よりも、鼻腔(びくう)や鼻咽頭(いんとう)から検体を採取して下さいと書いてある商品のほうが、良心的と受けとめていいでしょう」
■検査タイミングも留意
柳原教授も検討委員を務める厚生労働省の新型コロナの「病原体検査の指針」は、簡易キットの抗原検査の場合、「唾液検体は用いることができない」と明示している。唾液中のウイルスは鼻腔や鼻咽頭より少ないと報告されているからだ。
また、「抗原検査はPCR検査などよりも感度が低いことを考慮し、検査結果が陰性の場合も感染予防策を継続する必要がある」と付記している。
柳原教授によると、抗原検査で陽性と検知できるウイルスの量は1千~1万個。10~100個で検知できるPCR検査と比較すると、精度は100倍の差があるという。
さらに、留意しないといけないのは検査のタイミングだ。
新型コロナウイルスは感染後、曲線を描くようにウイルスの量が増減する。感染の初期段階は体内のウイルス量が少なく、症状がある期間ずっとウイルスが増殖し続けるわけでもない。もともと精度が高くない抗原検査ではとりわけ、検査を受けるタイミングによって検体採取部位からウイルスが消失し検出できないことも考慮する必要があるのだ。このため、発症10日目以降の患者などは「偽陰性」の可能性があり、陰性確定診断のための検査には適さないとされる。
■海外では鼻腔が主流
また、鼻腔から採取した検体の粘度が高い場合などは「偽陽性」を感知する可能性もあり、いずれにしても確定診断にはPCR検査が必要になる。
簡易キットの抗原検査は鼻咽頭や鼻腔から検体を自分で採取し、判定するためミスも起きやすい。