この記事の写真をすべて見る

 ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、のマーサちゃんです。

【写真】こんな姿見たことない! 枯れ葉をやさしく抱えて立ち上がる猫

*  *  *

 今年6月、夕暮れに帰宅し、部屋に入ったら変なものが跳びまわっている。女房に聞くと、「あっ、いつの間に入ったんだろう。最近、見かける子猫かも」。

 電灯をつけると、手のひらに乗るくらいの子猫で、僕を恐れもせず甘えてくるではないか。

 僕の家の古い物置では、昔から野良猫が子を産み、やがて子供のうちの一匹を残して消える。今いる猫は3匹ともそうした子だった。近年はそんなこともなくなったのに、どこから来たのだろう。親とはぐれたか、誰かが捨てていったか……。

 この雄のチビ猫は人見知りもせず、家人にまとわり付いたり、先住猫に甘えたりしている。どうしようかと思ったが、様子を見ることにした。

 こいつは教えもしないのにトイレで用を足し、障子の穴から出入りする。他の猫を親と思うのか、抱きついたり甘えたりする。だんだんいたずらも激しくなり、テーブルの上をかき回したり、テレビのコンセントを抜いたりと目が離せない。散々走り回って疲れると僕の布団の上で爆睡する。

 しばらくすると太って毛並みもよくなり、可愛さも増してきた。もし飼い主が来ても返したくない。お願いしてもらうことにしようかとも思った。

 ところがある日、娘が、この子は片目が見えないらしいと言う。これまで気がつかなかったが、確かに片方の目が白くなっている。本当に可哀想だ。

 娘は「独眼竜政宗のように強くなるよう、マサムネと呼ぼう」と言う。そうだ、まだ名が付いていなかった。呼びにくいのでマーサとした。そんなことも知らず、マーサは夜が明けるのを待って、家人や先輩猫に甘え、家中を跳びはねている。(長野市/89歳/無職)

【原稿募集中!】
「犬ばか猫ばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。
原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。
必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。
尚、掲載は本コーナー(外部配信含む)と「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。
mypet@asahi.com
※著作権は本社に帰属します

週刊朝日  2021年10月1日号