コロナ禍の真っただ中で行われた2021年大学入試。センター試験に代わり初めての大学入学共通テストも実施されたが、その得点状況や志望校選びの動向はどうだったのか。その振り返りと2022年入試の展望を、大手予備校の専門家に聞いた。AERAムック『就職力で選ぶ大学2022』(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。
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◆大学志願者数は減少期に突入
2021年度大学入試の特徴として、河合塾教育研究開発本部の主席研究員・近藤治さんは、人口減による競争の緩和を挙げる。
「18歳人口も大学志願者数も2017年をピークに減少が続いていて、ここ数年は本格的な減少期に突入しています。少子高齢化は続きますので、今後も減少は止まらないでしょう」
大学種別で見ると、国公立大学の人気は底堅い。
「国公立大学の前・後期の志願者数は前年比97%。大学志願者数も同程度減っていますので、人気は変わらず堅調といえます。先行き不透明なコロナ禍だからこそ、地元にあって学費が安く、就職も安定している国公立大学が選ばれたのでしょう。受験人口が減少しているため、競争はやや緩和しています」
一方の私立大学は、かつてないほど志願者数を減らした。
「私立大学全体の志願者数は前年比86%。私の記憶ではここまで大幅に下がった年はなく、かなり驚きました。合格者数は前年比106%、倍率は前年の3.8倍から3.1倍に緩和されています」
国公立大学、私立大学ともに倍率が下がったならば、今まで手が届かなかった大学を狙えるチャンスともいえる。
「高校の先生方から聞く話だと、難関大への合格実績がかつてないほど出ているそうです。特に私立大学は、こんなに易しくなったの?とびっくりするような大学も散見されます」
◆予想外に得点できた大学入学共通テスト
21年は、従来の大学入試センター試験に代わり、大学入学共通テストがスタートした。「ボリュームが増え難化する」「思考力や判断力が求められる」などといわれ、受験生の不安も大きかったが、実際の出題内容や得点状況はどうだったのだろうか。