「当初検討されていた記述式問題や英語の民間試験導入は見送られましたが、センター試験とはかなり内容が変わりましたし、ボリュームも非常に増えました。全科目を通じて出題に会話文が導入されたほか、読み取る資料も多くなり、英語では単語数が大幅に増加しました。唯一国語は、センター試験とあまり変わらない内容の出題でした」

 過去問もない初めての試験に挑んだ受験生たちだったが、得点は予想されていたよりよかったという。

「コロナ禍と未知のテストというダブルの不安を抱えた中で、受験生たちは本当によく頑張っていました。科目ごとの平均点を20年のセンター試験と比べると、全20科目のうち下がったのは6科目だけ。全体的な平均点は上がりました。思考力や判断力を必要とする新しいタイプの出題については、進学塾でもさまざまな予想問題をつくって提供しており、それが功を奏した部分もあるかもしれません」

◆コロナ禍の苦労は必ず将来の糧となる

 近藤さんは、22年の大学入試の展望について、河合塾の模試の結果からこう予測する。

「21年の大学入試では文系より理系学部のほうがやや人気が高く、また在学中に資格が取れる学部の志望者が増加しましたが、直近の模試でもまったく同じ傾向が見られます」

 コロナ禍の影響を強く受けた21年の大学入試では、大学側が入試直前まで変更点を発表するなどの大混乱が起きたが、22年は大丈夫なのか。

「文部科学省は前年度の反省を踏まえ、22年度入試では8月1日以降は教科・科目の変更や中止などを原則認めないとする通達を出しました。大学側も前年度に比べるとコロナ対策に慣れ、受験生に最大限に配慮した環境づくりを進めています。ですから、安心して勉強に集中してほしいと思います」

 激動の時代に大学に進学する若者に向けて、近藤さんはこんなメッセージを送る。

「来年も受験人口は減少します。しっかり勉強すれば憧れの難関大学にも手が届く時代になっているので、ぜひ志を高く持って頑張ってください。また、憂鬱なコロナ禍ではありますが、こういうときだからこそ、世の中への貢献の方法や自分の新しい可能性を見つける力は養われます。自分が何をしたいのか、何ができるのかをじっくり考え、大きな目標に向かって進路を決めてください。困難な時代を生きたことは、必ず将来の糧になります」

(林菜穂子)

こんどう・おさむ/学校法人河合塾 教育研究開発本部 主席研究員。1985年河合塾入職。教育情報分析部門、高校営業、営業統括部門を歴任後、教育イノベーション本部で大学入試動向分析、進学情報誌などの編集に携わる一方、生徒、保護者、高校教員対象の講演も多数実施。2021年4月から現職。

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