AERA 2021年9月27日号より
AERA 2021年9月27日号より

 三上さんは医師である父親の影響もあり、医学部に関心はあったが、高2までは宇宙関係へ進学したいと考えていた。生物の授業でDNAを学んでからがぜん興味がわき、高3から、生物で受験できる医学部へ方向転換。父親が休日や夜に呼び出され患者の元に駆けつけるのを見て育った。父親のような医師になりたいという。また小学校の時に親友をがんで亡くし、新しい治療法や薬を作る、研究者の道も視野に入れている。

 来年度の動きも見てみよう。医学部のある大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学として新たにスタートする。学生数1万6千人と、公立大学としては日本最大の規模。医学部は前身の大阪市立大を引き継ぐ。学部が増えることで学びや研究が広がりそうだ。

 大学設置準備室の柴山敬課長は「府立大には関西で唯一の獣医学部があり、医獣連携が可能になります。コロナのような、動物由来の感染症の解明も進むのではないでしょうか」と話す。

 さらに工学部との連携や、農学部とのバイオ、創薬の共同研究も期待される。

「近畿圏だけでなく日本全国、さらに世界から目指してもらえる大学にしたい」(柴山課長)

 医学部定員は、医師不足解消のため臨時定員として期限付きで増加が認められているが、20年度以降は増員されていない。「将来的には減少に向かう可能性がある」(山本さん)。緩和状態が続いていた医学部入試も、再び厳しくなりそうだ。

教育ライター・柿崎明子)

AERA 2021年9月27日号より抜粋