神津里季生会長 (撮影/工藤隆太朗)
神津里季生会長 (撮影/工藤隆太朗)

──連合も福島原発事故以降は、脱原発では?

「私たちは脱原発という言い方はしません。再生可能エネルギーの積極推進などによって、原子力エネルギー依存からの脱却を目指すということ」

──言葉の問題ですか? 傘下の電力総連や電機連合のスタンスは?

「言葉は大切です。原発というと脱原発、原発ゼロという言葉とつながってしまい、すごくマイナスイメージになります。連合全体として、福島の事故以降、議論に議論を重ねて原子力エネルギーからの脱却ということを決めたのです。ですが、安全性が確認され、地元の合意も得られている原子力発電の再稼働はあってしかるべきだというのがわれわれの考えです」

──9月8日に野党4党は「市民連合」と政策協定を結びましたが、国民は参加しなかった。

「山口二郎先生(法政大学教授)が市民連合の政策提言で、エネルギー問題でも立憲・国民両党が乗れるように考慮してくれていると思うのですが……。われわれから見たら両党は大半の政策で一致しているにもかかわらず、お互いどうしても違いを浮き立たせようとしてしまいます」

──2017年衆院選前の「希望の党騒動」も影響していますか?

「いまだに尾を引いています。小池(百合子)さんが排除の論理を持ち出したために、希望と旧立憲に分裂しました。希望の綱領には『寛容な改革保守政党を目指す』と書かれていましたが、ウソもいいところです。その後の政策協定書では、安保法制と憲法改正を支持し、選挙にあたり党が指示する金額を提供することなどと、ギラギラしたことが書かれていました」

──あの政変劇から、自公政権は嫌でも野党にも任せられないというイメージが強まりました。

「それは日本の有権者にとって不幸なことです。コロナ対策で自公政権が失敗をくり返したうえ、国会すら開かないというひどい状況なのに、有権者にはもう一つの選択肢がないのですから」

■共産と政権担う 絶対あり得ない

──立憲と共産が選挙で共闘することについて、どう考えていますか。

「いまの自公政権の1強政治が長く続いた弊害は歴然としています。自公に漁夫の利を与えないためには、政党間でいろいろと工夫があってもおかしくはない。政治の世界でさまざまな協力があることは否定しません。ただし、いま共産党は『野党連合政権』を提唱しています。連合は歴史的な経過もあって共産党とは相いれない関係です。そもそも立憲・国民が共産と政権を共にすることなど絶対にあり得ません」

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