連合(日本労働組合総連合会)は立憲民主党と国民民主党の最大の支持勢力であり、次期衆院選で野党浮沈のカギを握る。神津里季生会長に野党共闘のあり方、共産党との確執、原発の是非を聞いた。
【立憲民主党が打ち出した「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」はこちら】
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──自民党の総裁選をどう見ましたか。
「新型コロナ禍の影響で、いわゆる非正規雇用で働く人々の生活が追い詰められています。4人の候補者は働き手への支援策を打ち出しましたが、連合が訴えてきた内容とほとんど同じです。中でも、河野太郎氏は『第2のセーフティーネット』として職業訓練の強化が必要だと語りましたが、これは私が近年言い続けてきたことそのものです。
いま必要なのは、北欧型の『雇用と生活保障のセーフティーネット』の確立です。スウェーデンなど北欧では、働く人々を路頭に迷わすようなことはしません。失業しても再就職のための職業訓練が充実しているのです。本来ならば立憲民主党や国民民主党に、有権者に対して力強く発信してもらいたいメッセージでしたが、自民党に取られてしまった印象です」
──野党は出遅れた?
「昨年9月、旧立憲と旧国民が合流して大きな塊ができた。それはいいのですが、玉木(雄一郎)さんたちが合流しなかったのは残念でした。結局、二つの党が残った。連合は今年7月15日に両党とそれぞれ政策協定を結びましたが、党名も代表も変わっていないから有権者に清新さが伝わりにくいのです。もっと政策面での一致点など、協力関係をアピールしてほしい」
──玉木さんたちが合流しなかった理由は?
「合流しなかった人たちは『綱領が問題だ』ということを、よく言っていました。綱領が納得できないのなら粘り強く協議を続けるべきでしたが、期限を決めて打ち切ってしまった。われわれからすると、まさに画竜点睛を欠くという感じでした」
──ネックは原発ですか。
「原子力発電所について『原発ゼロ』という表現が問題になったようです。私は枝野(幸男)さんに『そこで働いている人たちに思いを寄せてほしい』と伝えると、その点は理解してくれました。原発ゼロという言葉は、旧国民の政策にも入っているのですが、確かに綱領にまでうたうのはいかがなものか、というのはそのとおりだと思います」