お母ちゃんは静かに泣いた。泣きながら、「なんかもう疲れちゃった」、そういって「あはは」と笑ってみせた。
あたしは自分にできることはないかと思って、帰宅し、都のホームページで協力金のお知らせを読んでみた。非常にわかりづらかった。
それにしても協力金ってなんのためにあるの? 苦しんだ人を救うためじゃないの? 苦しんだ証拠まで出せといわれて出したのに、期日が少し過ぎてるからダメって、冷たすぎる。3年とか5年とか前のことを話しているわけじゃないのに。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2021年10月8日号