写真家ユージン・スミスと彼の妻だったアイリーンが手掛けた写真集を原案に、産業公害に苦しむ人々の闘いを描く。TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中 (c)Larry Horricks (c)2020 MINAMATA FILM,LLC
写真家ユージン・スミスと彼の妻だったアイリーンが手掛けた写真集を原案に、産業公害に苦しむ人々の闘いを描く。TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中 (c)Larry Horricks (c)2020 MINAMATA FILM,LLC

■ユージンとの共通点

アイリーン:私は撮影前に情報や思いをすべて監督に託していたので、美波さんの演技にこう思うとかこうすればとか、一言も言わないことが大切だと思っていました。美波さんがジョニーから学んだことや印象に残っていることはありますか。

美波:演技が本当にうまい! そう思う瞬間が何度もありました(笑)。特に驚いたのは、ライトやカメラ位置をはじめ、どこに映れば一番美しく映るか全部把握されていること。私との会話のシーンでは、私が自然と輝くスポットライトに入るように誘導してくださった。すごく感動しました。ジョニーは私が何をしてもどんなボールを投げても全部受け止めてくださった。おかげで感情のままに動けたように思います。アイリーンさんはジョニーのユージンをご覧になっていかがでしたか。

アイリーン:人間は50歳にもなれば、子どもらしさを持っている人はほぼいません。でも、ユージンは持っていたんです。無邪気さ、純粋な子どもの心っていうのかな。それは彼のクリエイターとしての大切な要素の一つでした。ジョニー自身を見ていてもそれを感じました。二人の共通点だと思います。

■私にできることは何か

美波:ユージンに似ていると感じたシーンはありましたか。

アイリーン:まず冒頭のニューヨークで写真を焼いている時ね。体形や体の動かし方、手つきから何から本当にユージンに似ていました。ジョニーは特に特殊メイクをしたわけでもなく、ベレー帽とメガネとヒゲだけ。現場で撮影を見ていたある日、とても不思議な体験をしました。美波さんとジョニーが高台から工場を見下ろすシーンを見ていて、「ユージンがあそこにいる。しばらく会ってないし会いに行こうかな」と一瞬本気で思ったんです。

美波:これまで台本を読むと、「(私が演じる人物は)なぜ、何を思ってこのせりふを言っているのだろう」と疑問に感じることが多かったんです。でも、今回はそんな疑問がほぼなく、言葉に気持ちがすんなり乗っていきました。英語でお芝居するのは難しかったですし大変だったんですが、アイリーンのせりふにはそれを超えたストレートさ、どんどん進んでいくという気持ちがありました。

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ
次のページ