面接の際、「実は、こういう病気がある」と言ったとたん、会社の態度が変わったり、面接がそこで終わったりした、という事例も、中金さんは聞くという。
「ですから、開示するメリットとデメリットはしっかりとお伝えします。そのうえで、その方に合ったアドバイスをする。ひと口に指定難病と言っても15系統、333疾病がある。さらに進行性なのか、そうでないのか。発症したばかりなのか、5年目、10年目なのか。それによって病気に対する慣れもある。自分でコントロールできる方の場合は無理に言う必要はないでしょう。しかし、開示することで職場で配慮が得られ、働きやすくなるメリットは大きい」
■気になる新型コロナの後遺症
一方、中金さんが最近、気になっていることがある。新型コロナの後遺症だ。
「まだ、ぼくのところには新型コロナの後遺症の相談はきていません。でも、注視はしています。これはほんとうに治療と仕事をどう両立するか、という話なので、難病と似ています」
中金さんはコロナ禍で、難病と経済的な理由の両方で苦しむ人が増えることを危惧する。
「大企業や役所は治療しながら働くという点で、働きやすいでしょう。けれど、実際には中小企業で働いている方が多い。そうすると、病気を理由に雇用から離れていく方が出るかもしれません。それなのに病気の方を支援する制度が足りていない。そこを何とかしたいと、もどかしい思いです」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)