すると、大谷は瞬時に打球に反応し、気迫のダイビングキャッチを試みる。惜しくもボールは差し出すグラブのわずか先をかすめて地面に落ちたが、大谷はすぐさま拾い上げると、封殺を狙って三塁に送球した。際どいタイミングながら、サード・レアードの足がベースから離れ、判定はセーフ(記録は内野安打)。もしダイレクトで捕っていれば、三重殺に打ち取っていたのではと思えるほどのスーパープレーだった。

 今年6月17日のタイガース戦でも、大谷は三塁側に転がったセーフティバントの打球に果敢にダイビング。わずかに送球がそれ、内野安打になったものの、人間離れした身体能力に、米国のファンは「クレイジーだ」と驚くばかりだった。

 今季はメジャー4年目で初めて外野守備に就き、“左翼も守れる投手”と話題になった大谷。投手生命に影響を及ぼしかねない試合中のアクシデントのリスクを考えると、守備機会は限定的にならざるを得ないが、メジャーでも“三刀流”をアピールするようなスリリングなシーンを期待したい。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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