「ちょっと1歩目が遅れた」というライト・大谷は、やや中途半端な形で打球を処理することになったが、捕球してからの動作が速かった。

「間に合わないかと思ったけど、投げる時にはイケると思った」の言葉どおり、送球はワンバウンドになったものの、チームで1、2を争う俊足の島内を余裕でタッチアウトに仕留めた。

 さらに8回にも右翼フェンス直撃の当たりで二塁を狙った松井稼頭央を、矢のような送球で見事タッチアウト。「(クッションボールが)グラブに入っていたので、アウトにしたかった。何とかいいボールがいってくれて良かった」と振り返った。

 ちなみにこの日の大谷は、投球練習との兼ね合いから送球練習なしで本番に臨んでおり、2つのプレーは、実質イメージトレーニングのみで成し遂げたものだった。19歳になったばかりの高卒1年目とは思えない順応性の高さである。

 結果的にアウトにはできなかったが、同年6月15日の広島戦で見せたレーザービームも衝撃的だった。

 5回2死、堂林翔太の右翼フェンス直撃の打球を、位置取り良く処理した大谷は、素早く二塁に送球。軽い動作で投げたにもかかわらず、低めにグーンと伸びたボールは、ベース手前でワンバウンドすると、ストライクでベースカバーのショート・大引啓次のグラブに収まった。判定はセーフだったが、大引が悔しがるほどの際どいタイミングだった。

 また、14年3月4日のオープン戦、巨人戦では、珍しくレフトを守った大谷が、村田修一のワンバウンドでフェンスを直撃する長打性の打球を、一見フワリとした感じの送球にもかかわらず、二塁で楽々アウトに仕留めた。

 そして、大谷は、外野守備だけではなく、マウンドでも“5人目の内野手”として、あっと驚くプレーを見せている。

 15年9月10日のソフトバンク戦、3対3の6回、大谷は李大浩に四球、松田宣浩に三塁内野安打を許し、無死一、二塁のピンチ。次打者・中村晃は三塁線に送りバントを試みた。

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