創業者のラリー・ペイジ(写真右)とセルゲイ・ブリン(gettyimages)
創業者のラリー・ペイジ(写真右)とセルゲイ・ブリン(gettyimages)

「グーグルプラスの機能の一つに、写真を共有するサービスがありました。今はグーグルフォトとして独立しています」

 そう説明するのは、グーグル広報部の安達沙織さんだ。プラス時代はアップした写真を編集したり、友達と共有するだけのシンプルなものだった。だが、機械学習を使って思い出を整理するというコンセプトのもと、15年5月にフォトとして独立。破竹の勢いでユーザー数を伸ばし、10億人以上が使うサービスに成長した。

■「早めの失敗」が大切

 図を見てほしい。グーグルがリリースした主なサービスを時系列にまとめた。立ち上がっては閉じ、転んでもただでは起きない“巨人”の様子がうかがえる。

「常にどんどん改良して、便利だと思えるサービスを作っていく。最初にチャレンジしたときは、何が成功するかわからないからです」(安達さん)

AERA2021年10月11日号から
AERA2021年10月11日号から

 こんなこともあった。

 メガネ型のウェアラブルデバイスとして登場したグーグルグラス。11年に発表され、研究や試行錯誤を繰り返したかのように思われた製品だが、試作品の開発にかかった時間は、わずか90分。背中に背負ったパソコンと眼鏡をつなぐので、重さは30キロ超の重量級だった。

 今のままでは使い物になりそうもない。だが、社内には「むしろ面白いじゃん!」との空気が漂ったという。

「その後6カ月で450グラムになり、さらにその8カ月後には75グラムまで軽量化できました。グーグルで大切にしているのは、早く失敗すること。アイデアをただ眠らせるのではなく、まずはプロトタイプを作って、テストを繰り返す。それが成功につながります」(同)

■メール本文に要約3行

 この失敗を恐れない精神が根付いている、と感じた出来事がある。検索を開発するチームのリーダー社員が、とある取材を受けたときのこと。スッと出てきた言葉が安達さんの記憶に残っている。

「その場で『昨日と同じことをやっていても評価されない』と話していました。人によってはプレッシャーや不安を感じるときもあるかもしれませんが、その気持ちを少しでもなくすために失敗を奨励する文化があるのだと思います」

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