グーグルの「ストリートビュー」では登山道の一部も見ることができる。「そんなところまで必要?」と否定したら絶対にできないサービスだ(gettyimages)
グーグルの「ストリートビュー」では登山道の一部も見ることができる。「そんなところまで必要?」と否定したら絶対にできないサービスだ(gettyimages)

 仕事で失敗を恐れるあまりに萎縮するのは、もはや日本の伝統芸といえよう。だが、閉塞感漂う今こそ、つまずくことを恐れない発想が必要だ。失敗だって、大っぴらにしようじゃないか。AERA 2021年10月11日号から。

【グーグルは創業からこんなにも手掛けていた! ひと目でわかるチャートはこちら】

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 グーグルカーと呼ばれるカメラ搭載の車がアメリカの公道を最初に走ったのは、2007年のこと。オンライン上で世界中を疑似散歩できる「ストリートビュー」が生まれ、地図サービス「グーグルマップ」に彩りを添えた。

 いまでは車が走る道に限らない。緑が生い茂ったアマゾンでも、簡単には登ることができない険しい山道でも、バックパック式の撮影機材を背負ったカメラクルーが風景を記録する。道路の混雑状況やレストランやスーパーのレビュー機能もある。生活に必要なあらゆる情報がマップアプリで手に入るといっても過言ではない。

 コロナ禍でもアップデートを重ね、地域ごとの感染状況をマップに表示し、感染予測を公開したり、ワクチン接種ができる病院を示したりできるようになった。ひと言で「地図」とは言い表せないほど、進化を遂げている。

■世代交代続くサービス

 1998年に検索サービスとしてスタートしたグーグルは、産声を上げて23年が経った。日本法人ができたのは、ちょうど20年前。その間に生まれた数多の技術は、生活を豊かにした。

 次から次へとネット上を縦横無尽に駆け抜ける一方で、“世代交代”したものも多い。

 たとえば、「G+」ことグーグルプラス。コミュニティーやサークル機能を持ったSNSとして2011年にリリース。当時、国内では一世を風靡したAKB48のメンバーらが「ぐぐたす」としてファンとの交流に使ったことも記憶に新しい。“あのグーグル”が生み出したソーシャルメディアだけに期待値は高かった。が、19年4月、その役目をひっそりと終えた。

 失敗か──巷であがるそんな声。だが、その開発の息吹は今も残っている。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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