(AERA 2021年10月18日号より)
(AERA 2021年10月18日号より)

池上:「どうせ自民党が続く」「野党は負けるよね」と思っている人たちは、投票に行かないわけです。でも、「ちょっとやらせてみようか」という人がいると、ガラリと変わるかもしれない。(09年衆院選で)民主党が政権を取ったときも、投票率が上がりました。その後、民主党が負けて安倍政権が始まるわけですが、実は09年と前回の衆院選の得票数を比べると、自民党も票を減らしました。投票したくなるような対立構図を作れば、かなりの人が投票するということです。

山口:最近の投票率は5割ちょっとですが、これを10ポイントでも上げられれば、人数でいえば1千万人が投票に行けば、大きな変化が起きると思う。

池上:立憲民主党が衆院選への協力を小沢一郎さんに要請したことも驚きました。久しく忘れていた名前が出てきたぞ、と。

山口:ある程度の幅を持てることはいいことだと思います。小沢さんや中村喜四郎さんという自民党を知り尽くす2人が党内にいることは大きなプラスです。

池上:中村さんと言えば、自民党のなかの自民党というイメージがある人です。汚職事件の騒動で実刑判決を受けたあとも、無所属で当選し続けた負け知らずでもあります。どうして立憲民主党に所属したんでしょう。

■二者択一の構図が重要

山口:岸田さんも指摘した「民主主義の危機」を認識されていたのではないかと思います。「どぶ板」を大事にする人で、立憲民主党の中堅若手議員にも地域を回り、話を聞くことの大切さを指導しています。第2次安倍内閣発足以降、自民党の政治家は地元の人々の悩みを聞くことをしなくなりました。ですが、コロナ禍で生活が不安になるなかで、政治家に声を届けたい人たちはたくさんいます。立憲にその役割を担わせようとしているのでしょう。

池上:政治家たちが金曜の夜に選挙区に帰り、そこで聞いた話を火曜日に東京に持ち帰る「金帰火来」という言葉がありました。コロナで選挙区に帰れなくなったことも影響しているのかもしれません。

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