作家・室井佑月氏は、学校や教育委員会が設置する調査委員会で、被害者側の意向が考慮されていない実態に憤る。
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子供のいじめがなくならない。なにしろこの国の大人がいじめが好きだからな。例えば、低賃金労働者に生活保護者を叩(たた)かせたり。それを煽(あお)ってるいじめの主犯者がいるけれど、そっちは問題にされない。メディアを使った大掛かりないじめだ。
大津市で2011年、いじめを受けた中学2年の男子生徒が自殺してから10年がたった。
あの事件は悲惨だった。自殺に追い込まれた生徒は、蹴飛ばされたり殴られたりするのはしょっちゅうで、自慰行為を強要され、昆虫などを食べさせられ、金をゆすられ、自殺の予行までさせられていた。子供のいるあたしは恐怖を感じた。
いじめというより、犯罪だ。しかし、いじめた側は当時未成年の同級生で、遊びの延長でいじめ行為をしたらしい。なぜ、そこまで同級生を苦しめることができたのだ? しかもそれは彼らにとって楽しかったことなのか?
10月8日の毎日新聞に「遺族が委員推薦 4自治体都道府県・政令市いじめ自殺調査委」という記事が載っていた。
「いじめが原因と疑われる児童生徒の自殺などで全国の学校や教育委員会が設置する調査委員会の間で、被害者側の意向を考慮する仕組みが広がっていない。47都道府県と20政令指定都市のうち、被害者側が調査委の委員を推薦できる規定があるのは、わずか4自治体」だという。
少なすぎないか。毎日新聞がアンケートを実施して、都道府県・政令市教委、66自治体から回答を得た。被害者側がいじめの調査委委員を推薦できる規定があると回答したのは、たったの4自治体。
「大津市の生徒自殺を巡っては(中略)、市教委が事実を公表しなかったことが批判を浴びた。一連の問題をきっかけに『いじめ防止対策推進法』が13年に施行。自殺などが起きた場合の調査委設置などについて定めたが、委員の選定方法の規定はない。このため、調査内容や情報開示の在り方に不信を募らせ、遺族が推薦した弁護士などが調査に参加できる仕組みを求めるケースが相次ぐ」