どうして「いじめ防止対策推進法」ができたのか、それを考えたらいじめの調査に関して、これはおかしい。本当に教育に携わる人たちは、死ぬほど追い詰められた子供たちの側に立っているのか。というか、普段から子供たちの側に立っているのか。
なにか問題が起きた場合、責められぬよう、隠蔽(いんぺい)できるものなら隠蔽できるよう、その余地を残しておきたいみたいだ。できることなのに、しない。やらなきゃならないことなのに、やらない。それはもう命を絶った子供やその遺族に対するいじめだと思う。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2021年10月29日号