10月19日公示、31日投開票の日程で火ぶたを切った衆院選。政治ジャーナリストの野上忠興氏と角谷浩一氏に、北信越・東海・関西・中国地方の選挙区の情勢を聞いた。
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■北信越・東海
北信越では、新潟5区の元知事対決が注目だ。野上氏、角谷氏ともに米山隆一氏に軍配を上げる。
角谷氏が言う。
「米山氏は妻の作家・室井佑月さんとの二人三脚が功を奏しています。女性問題は相当に痛手だったはずですが、怯まずツイッターでの発信力を発揮。弁護士としての弁舌も有利に働いています」
福井2区は、国対委員長に就任した高木毅氏が過去に女性の下着泥棒疑惑が報じられた(高木氏は否定)。そんな汚名もどこ吹く風、無風で当選を重ねてきている。意外な一面を角谷氏が明かす。
「前任の森山裕氏は野党の国対をなだめながら収めるタイプでしたが、高木氏は『戦う国対』タイプだそうです。立憲の安住淳・国対委員長に言い負かされるのではないかと心配する人もいますが、『とんでもない、高木さんはきついですよ』という評価を聞きます」
静岡5区では、二階派会員で自民党入りを目指す無所属・細野豪志氏が、自民前職の吉川赳氏とぶつかる。過去、3度の直接対決で細野氏がいずれも勝ちを収めているが、吉川氏は首相派閥の宏池会。二階派との代理戦争の様相だが、後ろ盾だった二階俊博氏の幹事長退任は細野氏にとってはマイナスか。
静岡8区は、塩谷立氏の苦戦は不可避だという。野上氏が語る。
「当選9回で閣僚経験もあり、清和会(細田派)の事務総長を務めた重鎮ですが、すでにかつての存在感もなく、県連関係者の間にも落選の可能性ありとの見方が少なくありません」
愛知11区は、トヨタ労組出身の無所属・古本伸一郎氏が不出馬を決めた。自民党との連携を模索する全トヨタ労連の意向に沿った形だが、ライバルの“消失”で自民の八木哲也氏が有利か。
■関西・中国
京都1区は、自民・伊吹文明氏が引退。角谷氏は「後継の元総務官僚の勝目康氏は知名度に乏しい」として、共産の穀田恵二氏に勝機あり、と見る。