「しかし今回のことでさまざまな『世俗的なゴタゴタ』を見せられ、『なんだ、天皇家も私たちと同じことやってる』と見えてしまう。そこで何となく安定せず落ち着かず、苛立ったりしてしまう面もあると思います」

 批判の声が多いことが注目される一方で、結婚にポジティブな意見も多い。前出の森さんは、眞子さまは今回の選択で「皇族の結婚では、旧華族や学習院関係者を選ぶべきだという従来の『同等性の原則』にこだわらなくていいことを見せてくれた。いろんな結婚の形がありうることを示した」と話す。

皇室は社会の鏡です。たとえば、同性婚でも、非婚でもいい。釣り合いの取れた結婚でなくても、広く世間が認める結婚でなくてもいいということを、眞子さまは私たちに見せてくれた」

 かつて、美智子さまは失声症、雅子さまは今も適応障害に苦しむ。そして、眞子さまも。前出の香山さんは言う。

「皇族としての生活が、私たちのようにはのびのびと生活できない、さまざまな面で不自由な空間であることは、3人を見ていてもう多くの人が気づいていると思うんです。眞子さまは生まれたときからそんな環境で育ってきたにもかかわらず、強い意思を育み、それをもって今回の選択をした。私はひじょうに肯定的にとらえています」

(編集部・小長光哲郎)

>>【後編:眞子さまの結婚で考える「天皇・皇族の公と私」 人間としての意思は認められないのか】へ続く

AERA 2021年11月1日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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