きゃりー:子どものころから歌を目指していたわけでもなく、ただただ中田ヤスタカさんがつくる楽曲が好きで、その中田さんに曲を書いていただいているという今のこの現状がほんとに幸せなので、これがずっと続けばいいなと思ってます。もともと高みを目指してないタイプなんです。

林:あ、そうなんだ。

きゃりー:とはいえ、「きゃりーぱみゅぱみゅっていつまでやるの?」って、地元の友達に半笑いで言われたこともあって。こうやって髪を二つ結びにしていることもそうですが、私がやっている「原宿系」って、「若いから価値がある」って判断されやすいんです。でも、「若いから」でなく、人を魅了できるようになりたい。11年目からは、そういうことを考えていきたいと思っています。

林:そうなんですね。

きゃりー:日本は、女性が若ければ若いほど「カワイイ」「きれい」とか言われるけど、フランスなんかだと、年を重ねた女性のほうが美しいとされる文化があるっていいますよね。だから、誰もたどり着けなかった、そのフェーズに行けたらいいなと思ってますね。

林:きゃりーさんってミステリアスで、今まであまり肉声が伝わってこなかったけど、こうしてお話を聞くと、非常に知的なお嬢さんですね。

きゃりー:「“不思議ちゃん”なんじゃないか」とか、「派手だから常識がないんじゃないか」とか、そういうイメージがあるみたいですね。だから、初めてお話する方は、私が「ふつうに」話すだけで、「意外!」って好印象を持ってくれるみたいで。そういう意味では、得かもしれないですね。特別なことをしなくても、いい意味で、びっくりしてくれる方が多いんです。

林:私もちょっとびっくりしちゃった。今日はいろいろ意外なお話も聞けて楽しかったです。

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

きゃりーぱみゅぱみゅ/1993年、東京都生まれ。2011年、中田ヤスタカプロデュースのミニアルバム「もしもし原宿」でメジャーデビュー。アルバムに「ぱみゅぱみゅレボリューション」(12年)、「なんだこれくしょん」(13年)、「ピカピカふぁんたじん」(14年)、「じゃぱみゅ」(18年)など。個性的なファッションや表現で、国内外から支持を集め、過去に4度のワールドツアーを開催。10月27日にデビュー10周年を記念するアルバム「キャンディーレーサー」が発売される。

週刊朝日  2021年11月5日号より抜粋