今年7月23日、東京五輪の開会式で開会宣言をする天皇陛下 (c)朝日新聞社
今年7月23日、東京五輪の開会式で開会宣言をする天皇陛下 (c)朝日新聞社

皇族の不自由さとは

木村:今の世論は「天皇制は続いてほしい」けど「制度改革の労はとりたくない」というものでしょう。しかし、実際は、皇位継承者を増やし、天皇の地位に伴う負担を軽減して即位しやすくする制度改革をするか、皇位継承者がいなくなって、天皇制の安楽死を待つかしかない。コロナ抑え込みか経済活動のどちらかを諦めなければならない状況と似ています。こういうときは、政治家がリーダーシップを取らなければならないのに、できていない。

河西:政治家は天皇制を触ることを怖がって、「とりあえず悠仁さまがいるし」と逃げています。一つ気になっているのは、国民に「眞子さまの意思をすべて反映させてあげたい」という意見があることです。我々と同じ人間として扱えということですが、木村先生の指摘通り立憲君主制である以上、皇族はたくさん制限がある存在です。それは仕方がないというか……。

木村:必然的な帰結です。「お気の毒」と考えるなら、天皇制をやめた方がいい、となります。

河西:皇族の不自由さの究極的な解決は、「制度をなくす」ですよね。時代や社会状況の変化で、制限を緩める議論も必要とは思います。でも、皇族に国民と全く同じ自由意思があるなら、皇族とは何かという存在への疑義も生じる可能性はあります。

木村:「天皇制と人権」は昔からある問題で、昨今関心が高まっているだけと見ています。昔からある議論を丁寧に見直してほしいなと思います。

河西:天皇制はとても厄介な制度だということを理解し、我々自身で考えていく。そういうことではないでしょうか。

(構成/コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2021年11月1日号の特集「眞子さま結婚 批判の深層」より抜粋

※敬称は取材時のものです

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