2011年5月、東日本大震災で岩手県宮古市の避難所に身を寄せる人々を訪ねた天皇、皇后両陛下(当時) (c)朝日新聞社
2011年5月、東日本大震災で岩手県宮古市の避難所に身を寄せる人々を訪ねた天皇、皇后両陛下(当時) (c)朝日新聞社

河西:これまでも国会で天皇の高齢化などが議論されることはありましたが、深められませんでした。考えないでおこうということだったと思います。

木村:そもそも女性皇族には人権問題が起きていましたよね。美智子さまが皇后になった時、雅子さまの皇太子妃時代などバッシングから体調を崩され、眞子さまもそうなりました。日本では、男性皇族と女性皇族で国民の反応が違う気がします。

河西:女性皇族が二重の役割を背負わされているからだと思います。象徴天皇制になり、皇室の民主化を伝える役割を担わされた一方で、男子を産むなど伝統的な役目も残っている。女性皇族は同時進行で二つをしなくてはならず、そのバランスが崩れるとバッシングが起きる。

 昭和の時代、三笠宮寛仁親王が「皇族をやめたい」と発言しましたが、「トリッキーな発言」くらいの反応で、何となく終わりました。男性皇族は権威で守られているのです。

木村:女性皇族に、随分と勝手なことをしてきたのですね。

■女性皇族バッシング

河西:女性皇族は、男性皇族以上に国民の仮託を背負っている。雅子さまなら「キャリアウーマン」の期待と、「男子出産」という期待。相反しはしませんが、複雑です。男性皇族と違い、そういう複雑なバランスの上に立たされているのが女性皇族です。行動が仮託とずれたと思われると、バッシングに火がつく。

木村:女性蔑視ですよね。女性皇族はいじめても大丈夫と思われているけれど、男性皇族の批判はタブーになっています。

河西:平成になった直後の美智子皇后(現在の上皇后)へのバッシングも、つまりは「平成流」への不満でした。それでも天皇には向かなかったし、今の天皇と皇后に男子が生まれないことへの不満も、まずは皇太子ではなく雅子さまへ向かいました。

木村:実名アカウントのツイッターで女性皇族の悪口は書けても、天皇の悪口は書けない、ということですよね。

河西:はい。女性皇族は絶対に天皇にならないですから。小室さんバッシングの根底には、女性宮家や女性天皇という宙ぶらりんになっている問題があると思います。眞子さまが皇位継承の対象になっていたら、バッシングはされにくかっただろうし、女性宮家の議論もなく「皇室に残らない」とはっきりしていたら、これほど関心は呼ばなかったのではないでしょうか。

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