写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします
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作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 それは、自分の人生をちゃんと考えたからじゃないですか。

 もし、グナシさんがただの「無気力」な人とか、いい加減な人なら、自分の人生がこれでいいかどうか、考えることも相談することもないと思います。

 グナシさんは、「そもそも何かを頑張れたこともありませんし」と書かれていますが、ちゃんと毎日、精肉部門で働かれているんですよね。

「頑張れる気がしないですし、自信を持とうとも思えなくなりました」ということは、「頑張ろう」「自信を持とう」と以前は思っていたということですね。「頑張ること」「自信を持つこと」がとても大切なことだと考えていたんですね。

 人生とは「頑張るもの」で「自信を持つもの」だと言われたんでしょうか。「昇進を目指すことが当然」と言われたのでしょうか。でも、自分は違うと思ったんですかね。

 いえ、死ぬことをとめようとしているんじゃないですよ。

 僕も「人生は長生きだけじゃないと思っている」ので、30歳で死ぬと決めることは、少しもおかしい考えだとは思いません。

 それで質問なんですが、「夢もなければ、気力もない」状態で、グナシさんはどんな毎日を過ごしているんですか?

 生きるために必要なことは「夢」でも「気力」でもなく、「退屈しないこと」だと僕は思っています。

 頑張らなくても、自信がなくても生きてはいけるのですが、退屈したまま生きていくのは、とてもつらいと僕は感じています。

 人生の最大の敵は、無気力でも夢がないことでもなく、退屈することだと僕は思っているのです。

「人生はしょせん、暇つぶし」という言い方があります。

 僕はこの言葉を聞くたびに「うむ。どうやって暇つぶしをするのか、それが問題なんだ」とつぶやきます。

 だって人間はすぐに飽きるでしょう。すぐにパターンを読んで、展開を予測して、飽きてくるでしょう。

 もし、一生、退屈を感じない人生を送れたら、それはものすごく素晴らしい人生だったと僕は考えます。

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人類は退屈とずっと戦ってきた