また、大きな目標に向かって仕事をする際に、中間目標を設けることも僕にとっては有効です。毎朝、自らの目標と計画を確認することで、才能を自覚的に使うことができます。
しかし、目標の達成に邁進するという才能のタネを持っていない人が、僕と同じことをしても、おそらく成果は期待できないでしょう。そもそも目標を設定して達成を目指すこと自体に興味を見出だせない。この過程をつらく感じて、継続できなくなってしまうこともあります。自分とは異なる才能を持つ人を真似しても意味がないのはこのためです。
才能を正しく自覚的に使うことができると、その行為自体を楽しめます。物事に没頭したり、わくわくしたり。意欲高く取り組めるのは、自分の才能に時間を投資できている証拠ともいえます。
■それでも「弱み」の克服に時間を使いますか
才能に時間を投資すべき理由が明確にわかる研究結果があります。ネブラスカ大学では、速読の効果的な教授法を見つけるために、3年間で10000人以上の学生を対象に速読と理解力の調査を行いました。
「読むことが苦手」な学生を対象に速読法を教えた場合、1分間で読める語数が90から150にアップしました。一方、「読むことが得意」な学生に、同じ速読法を教えた場合、語数はどのくらい向上したでしょうか。なんと1分間で読める語数が350から2900に向上したのです。「読むことが苦手」な学生の語数の増え幅が2倍にも満たないのに対して、もともと「読むことが得意」な学生は、約8倍も語数を増やしています。
弱みを克服しようと努力するよりも、強みを伸ばす努力をしたほうが、はるかに大きな成果を得られることが実感できるのではないでしょうか。
ちなみに、まだまだ若造の僕が言うのもなんですが、年を取るほどに強くなる「自分のことを一番わかっているのは自分」という考えは、錯覚だと思いましょう。むしろ年齢を重ねれば重ねるほど、自分の外にある情報や選択肢は増え、自分が蓄積してきた体験や経験の多様性にも気づき、自己認識に揺れが生じてくるものです。
年齢は関係ありません。今日から、「才能のタネ」探しをはじめてみませんか。
(構成/猪俣奈央子)