瀬戸和信著『「自分」を殺すな、武器にしろ』※Amazonで本の詳細を見る
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「はい」と笑顔で返事をしていても、自分で考えていない「答え」を押し付けられているだけなので、どうしてそのように動くべきなのかを理解していないことが多いのです。あるいは、リーダーの命令通りに取り組みはするものの、その考えには納得できていなくて、手を抜くかもしれません。やらされ感のある仕事では、人は主体的に動かないものです。

「1カ月後までに売上を5%伸ばさなければならない。会社が決めた◯◯の施策を実行してくれ」と指示するのは、昔ながらのリーダー。

「1カ月後までに売上を5%伸ばさなければならない。なにか施策を考えておいてくれないか」と言うのは、普通のリーダー。

 僕が考えるこれからのリーダー、つまり対話型リーダーは、メンバーにこう問います。

「1カ月後までに売上を5%伸ばさなければならない。どんな施策が有効だろう?」
「◯◯さんが、過去半年間で行った、売上を伸ばすための施策や行動で、いちばん即効性のあったものは何?」
「チームの◯◯さんは、□□の施策が有効じゃないかと話していたけれど、キミはどう思う?」 

 コーチの役割を担うリーダーが、メンバーに対して「答え」を提示しないのは、「"自分自身で気づいたこと"でなければ、人は動かない」という真理を知っているからです。

 話が脇道に逸れたように感じられたかもしれませんが、つまり、これはメンバーの強みを引き出す作業に等しいのです。それぞれが持つ強みを使って、自分自身の「答え」を導き出すことを促すのです。

■「話しても大丈夫」という心理的安全性を保つ

 ここで、対話型リーダーになるための"前提"についてお話しします。

 先ほど紹介したジェレミーは、僕に会うたびに"How can I help you? "と聞いてくれます。そこからは「僕はあなたを尊敬していて、あなたの力になりたいんだ」という誠実なメッセージを感じるのです。上から目線の「僕がコーチとしてあなたの能力を引き出してあげるよ」という姿勢は微塵もありません。

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