撮影:高野楓菜
撮影:高野楓菜

 そのかわりクイズプレーヤー諸氏には、自分の意見を持った上でぜひ冒頭から読んでいただきたいですが。理論としては頭からお尻まで読むと順序立てた意味があるようになっているはずです。

――今後、『クイズ思考の解体』を土台に議論と研究が深まり、クイズの概念が進化していくのがとても楽しみです。今後の伊沢さんの活動とともに、クイズ文化の発展にも注目していきたいですね。

伊沢:ありがとうございます。こんな弱気なというか、言い訳ばっかりな作者インタビューもなかなかないんじゃないでしょうか。

 2年半という歳月を賭けた作品がでるとなると、どうしても不安になるものです。どこまで言葉を尽くしても、僕がこの本を書いたことで切り捨ててしまう概念とかが出てしまう。影響力がある人間が出した本によって歪められる真実がある。そういうことを考えるたびにどうしたもんかなと思いますが、そうしたことへの批判検証もまた、クイズという文化を進歩させてくれるものだと信じています。

 そして、これはまえがき冒頭にも書いたように、クイズの世界の外側からの意見というのは、大変貴重でありがたいものです。この本を介して、読者の皆様すべてがクイズに携わり、その発展に資する存在になるのです。食わず嫌いだけはせず、一度お手にとっていただけたら、なにかしら面白く思える要素はあるはずです。ぜひ、ご一読ください。

伊沢拓司
日本のクイズプレーヤー&YouTuber。1994年5月16日、埼玉県出身。開成中学・高校、東京大学経済学部を卒業。「全国高等学校クイズ選手権」第30回(2010年)、第31回(2011年)で、個人としては史上初の2連覇を達成した。TBSのクイズ番組「東大王」では東大王チームとしてレギュラー出演し、一躍有名に。2016年には、Webメディア「QuizKnock」を立ち上げ、編集長・CEOとして日本のクイズ界を牽引する。
Twitter @tax_i_ / QuizKnock http://quizknock.com/

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