撮影:高野楓菜
撮影:高野楓菜

――解説者の徳久倫廉さんは「クイズ関係者が避けてきた言語化を本書は引き受けようとしている。その志の高さに注目して欲しい」とおっしゃっています。膨大な情報量にも関わらず、謙虚な予防線が張られ、伊沢さんのご執筆行為やクイズへの誠実さ、敬意を読み取ることができます。その姿勢は、クイズ好きの人だけでなく、多くの人の胸を打つはずです。

伊沢:謙虚というよりは、猜疑心が強いんだと思います。もしくは言い訳がましい。ちゃんと読まれるかな、みたいな。これは書く上での強みにはなりますね。

 本という形で出すからには、やはり1ページめからラストまでの流れというものを前提に書いているし、この一冊に含めること、含めないことという事実の線引きも加わります。だからこそ、口頭やSNSでは伝わらないような表現と、じっくり考えて完成した状態で発信することが可能になったんだと思います。完成したといっても、書き直したいところばかりですが、改訂版がつくれるのであればそれが可能というのも本の良いところですね(笑)。

――「膨大な情報が詰め込まれたクイズの教科書」と言ってよいかと思いますが、本書の活用方法について、簡単にレクチャーいただけますでしょうか。

伊沢:面白いところは人によってぜんぜん違うと思います。そもそも徳久さんが解説で言ってくれたとおり、冒頭からお尻まで順番に読む人ってあんまりいないと思いますし、まずはなんとなく惹かれたところから読んでほしいですね。

 少なくとも入門書ではないので、この本からクイズを始めよう!というのには向いていません。クイズ番組を見たり、QuizKnockを見たり、先人たちが残したクイズ入門書を読んだり、というところからこの本に来ていただけるとありがたいです。

 とはいえ、それはちゃんと理解しようという視座を前提とした話で、ちょっとクイズの世界を覗き見したいなとか、コラムが読みたいなとか、そういう理由だけでも読めるものにはなっています。用語集とかもつけたので、一見さんお断りでもありません。クイズをやったことない人でも、初心者でも、お好きなところからつまみ食いしてほしいですね。

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