「簡易的な抗原検査キットでは、感染していても採取したサンプルのウイルス量が一定程度ないと陽性を判定できません。結果が陰性だったとしても『偽陰性』の可能性を常に疑ってほしい。症状があれば、第1選択として医療機関を受診してください。医療機関では、抗原検査キットを使って陰性の結果が出ても、症状がある場合は、より精度の高いPCR検査をして再確認します。それで陽性だったということも少なくありません」
つまり、抗原検査キットで陰性だったとしても過信してはいけない、ということだ。また、症状がない時に使うとウイルス量が少なすぎて判定できないことがあるため「無症状者には向かない検査方法」だという。
「少し体調に異変を感じても医療機関を受診するまでもないという時に、抗原検査キットでセルフチェックをすることで、陽性だったら出勤や通学を止めるというブレーキにはなります。きちんとしたキットを、使い方や目的を理解して利用すれば、市中感染の拡大を防ぐ一助にはなるかと思います」(横地副会長)
PCR検査よりも精度の劣る抗原検査キットだが、より効果的にセルフチェックに活用するためには、1回だけでなく2、3回連日で検査することを横地副会長はすすめる。
「自分で検体採取をする際、1回だけではうまく取れないことがあります。また1回目は陰性だったとしても、感染していたら2日目、3日目にウイルス量が増えていき、より陽性を検知しやすくなります」
厚労省が薬局での販売を承認した抗原検査キットは15種類ある(10月11日時点)。購入する際は、薬局で薬剤師から説明を受け、キット使用時の留意点や検査後の対応などを明記した文書に署名が求められる。
購入時に注意したいのは、一部のドラッグストアやネット通販では、厚労省が承認していないキットが売られていることだ。消費者庁によると、国民生活センターなどには、こうした検査キットに関する苦情が多く寄せられているという。