秋風が強まる11月。J1では残り5試合を残して下位6チームが勝点差7の中で争っているが、それ以上に「J2残留争い」が熾烈を極めている。残り6試合を残し、勝点差7の中に実に9チームがひしめき合っているのだ。
第36節(10月30、31日)を終えた時点でJ3自動降格となる下位4チーム(22位~19位)は、松本山雅(勝点31、得失点差-32)、北九州(勝点31、得失点差-24)、愛媛(勝点33、得失点差-24)、相模原(勝点33、得失点差-17)。そこから残留ラインぎりぎりの18位に金沢(勝点34、得失点差-17)、その一つ上の17位に山口(勝点35、得失点差-17)がおり、さらに16位・草津(勝点37、得失点差-16)、15位・大宮(勝点37、得失点差-3)、14位・栃木(勝点38、得失点差-11)の3チームも危険な位置にいる。
現状で最も厳しいのは、松本山雅だ。2012年にJ2に参入して以降、反町康治監督の下で2014年にJ2で2位、2018年にはJ2優勝を飾り、2度のJ1昇格を果たしたクラブ。だが、8年続いた反町体制に終止符を打って迎えた昨季、コロナ禍の中で熱狂的サポーターの後押しも失った中、J2で13位と低迷。そして今季は開幕5戦未勝利(3分2敗)とスタートで躓き、第13節から8戦未勝利(3分5敗)という低迷の最中に柴田峡監督が解任。新たに名波浩監督を招聘して巻き返しを図ったが、指揮官の理想とはかけ離れた戦力と戦い方を強いられ、第20節からの13試合を3勝3分7敗と黒星が先行。そして第33節から4連敗を喫して最下位に沈んだ。
松本山雅が苦しい理由は、残り6試合の対戦カードにもある。次節11月3日に前回対戦時に1対5と惨敗した町田(7位)と戦った後も、新潟(6位)、甲府(3位)と上位陣との対戦が続き、山口(17位)、相模原(19位)との直接対決2試合を経て、最終42節には9月以降の10試合で1敗しかしていない好調の長崎(4位)と対戦する。過去5シーズンの18位の勝点を見ると、2016年から順に「43」、「46」、「48」、「43」、「49」。大混戦となっている今季のJ2残留ラインを「勝点40」とやや低く見積もっても、残り6試合で勝点9以上を稼がなければならない。2019年に磐田と同時にJ2降格となった松本山雅だが、「首位快走でJ1復帰」の磐田に対して、「最下位低迷で初のJ3降格」と、全く逆の道のりを歩むことになる可能性は高い。