同じJ1経験組では、大宮も初のJ3降格の危機にある。1999年のJ参入と2004年のJ1昇格の歴史は川崎と同じ。J1に定着していた時期もあったが、2017年に2度目のJ2降格を味わうと、昨季はJ2でも15位と苦戦。そして「変革」のシーズンと位置付けた今季も、第6節から10戦未勝利(5分5敗)と低迷して岩瀬健監督が早々に解任され、佐々木則夫暫定監督で臨んだ2試合も2連敗となった。第18節から霜田正浩監督が指揮を執り、第27節からの6試合で勝点13(4勝1分1敗)を稼いでチームを立て直したが、まだ降格圏からは勝点差4と安心できない。今後のスケジュールを見ると、次節11月3日に2位・京都戦を控え、その後に山口(17位)、山形(5位)、水戸(10位)、町田(7位)を経て、最終節には現在勝点37で並ぶ群馬(16位)と戦う。選手、サポーターの精神衛生的にも、その前の町田戦までにJ2残留を決めておきたいところだ。
一時はJ2最下位に沈んだところから浮上してきた大宮に対して、チーム状態が下降線を辿っているのが、17位の山口だ。昨季J2最下位もコロナ禍の特別ルールでJ3降格を免れると、今季は堅守を全面に押し出しながら勝点を積み上げ、第14節終了時点で11位(勝点18、得失点差-2)につけていた。だが、以降は得点力不足の方が目立ち、9月に入って第28節以降の10試合は1勝3分6敗と低迷。そして現在は7戦未勝利(3分4敗)の状態が続いている。残りのカードを見ると、次節の琉球(8位)の後、大宮(15位)、北九州(21位)、松本山雅(22位)との“残留直接対決3連戦”に挑み、甲府(3位)を挟んだ後の最終節にも再び下位グループの愛媛(20位)と戦う。自らの手で引導を渡すことができればいいが、逆の場合も十分に考えられ、生死を分ける残り1カ月となる。
残り6試合の対戦カード見ると、16位の群馬と18位の金沢の2チームも、なかなか厳しい。J2復帰2年目のシーズンを戦っている群馬は、首位の磐田戦も含めて、長崎(4位)、町田(7位)、新潟(6位)と上位陣の対戦が4試合。残り2試合の相模原と大宮を相手には絶対に負けられない。2015年からJ2の舞台で戦って7シーズン目を迎えている金沢も、最後の2試合に山形(5位)、京都(2位)と上位チームとの戦いを残しており、その前の4試合、特に愛媛(20位)と栃木(14位)を相手には勝点3が欲しいところ。J2の優勝争いも最終節までもつれる可能性があり、目下J2ナンバーワンの堅守を誇る京都戦を「勝たなければいけない」という状況で迎えると、非常に厳しくなる。