ボクシング好きとして知られるダウンタウン松本人志もその強さを絶賛するなど、格闘技以外で活躍する人物からも井上を絶賛する声が止まない。圧倒的な強さは『アイアン・マイク』と呼ばれたタイソン級とまで形容される。
また、“強さ”以外にも井上人気の秘密はある。
「強さはもちろん、ボクシングに対する真摯な姿勢を絶賛する人も多い。試合に向かう時は人並み以上の闘争心を見せるが、相手選手に対するリスペクトも欠かさない。必要以上の口撃やパフォーマンスで注目を集めたりもしない。また試合後に相手ボクサーを気遣う優しさも話題になるほど。リング内外でロールモデルになっている」(格闘技系ライター)
格闘技では“心理戦”的な要素もあり、試合前に相手選手を挑発するなどリング外での舌戦も多い。日本では辰吉丈一郎や亀田三兄弟、米国ではフロイド・メイウェザー・ジュニアなどは実力も折り紙付きではあるが、キャラクターも際立っていた。そして露出が増えれば興味を抱き支持するファンも多くなるが同時にアンチも増えてもいた。だが、井上は彼らとは違うスタイルで自身の知名度を上げていった。
19年WBSS優勝後のエピソードも有名だ。対戦相手ドネアが「勝利してモハメド・アリ・トロフィーを持ち帰る」と子供たちに約束していたことを知った井上が、勝ち取ったトロフィーをドネアに貸し出したのだ。この話はリング上での名勝負とともに語り継がれ井上のナイスガイぶりが世界中に知られることとなった。
「トレーナーの父・真吾氏の立ち位置も素晴らしい。マスコミ露出も(井上の知名度とともに)増えたが現場では絶対に出しゃばらない。ボクシング経験者だがプロでなかったことから『専門家に任せる』とトレーナー辞職を覚悟したこともあった。亀田家とはまったく逆パターン(父・史郎氏)。どちらが良いとは言えないが、そういう部分も好意的に受け止められている」(大手広告代理店関係者)