プロジェクト受講生の多くの家にある「物置部屋」。彼女の家にもありました。以前は家族の寝室だったのに/Before
プロジェクト受講生の多くの家にある「物置部屋」。彼女の家にもありました。以前は家族の寝室だったのに/Before


 片づけに関係なく、不思議なことも起こりました。プロジェクト中、夫が予期せぬアクシデントに見舞われ、自らの言動を反省しはじめたのです。会社で部下へ言い過ぎた、お墓参りへ行かなかった……。「だからこんなことになったのかな」なんてつぶやきます。

 彼女はそれを聞いてただ驚いていたけれど、「肩の力を抜くことができないほど、不器用な人なんだな」と夫を理解したそうです。プロジェクトでは「相手の理解に徹する」を大切にします。夫婦が転機にある中で、彼女は離婚を考えていたこと、怒鳴られて嫌だったこと、義母に何時間も責められていることをちゃんと夫に伝えることができました。

 45日間で不用品は消え、床は広く明るくピカピカになり、彼女は心から自信を取り戻しました。

 でも、一番の変化は夫でした。脱いだ服を脱衣所まで持っていく、リビングに掃除機をかける、3人分のお弁当を作る、子どもの習い事の送迎をするなど数えればキリがありません。

 彼女が「なんで服を脱衣所に持って行くようになったの?」と聞くと、「ごちゃごちゃした物がなくなったら、服が目立って、なんか申し訳ないと思った」と夫。片づけの効果は絶大でした。

 もっとすごいのは、夫が大きな声で怒鳴ること、義母が彼女をののしることが全くなくなったことです。彼女が嫌だとはっきり言うようになったことは、もちろん大きい。でも、気持ちのいい部屋でみんなが幸せを感じたのではないでしょうか。

「プロジェクトからしばらくしてふと、生まれてきて良かったと思ったんです。はじめての感情でした。部屋がきれいになり、一番近い家族との関係が良いとこんなに幸せなんですね」と話してくれました。

45日間のプロジェクトを経て、立派な寝室に復活!床もピカピカに拭き上げました/After
45日間のプロジェクトを経て、立派な寝室に復活!床もピカピカに拭き上げました/After


 私は講座で、片づけや人間関係について暑苦しい感じでお話ししています。その中で「感情と行動をつかさどるのは信念」「パートナーは自分を映す鏡」の2つが、彼女には響いたそうです。彼女は「生き方に責任を持つ」という信念を持ち、動き続けた結果、「自分が変われば、相手も変わる」をまさにやってのけました。

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何かを一つやり抜けば、一石何鳥にもなる