さらにインハイ予選覇者・正智深谷も初戦となった3回戦で呑み込まれた。王者喰いを果たしたのは県2部リーグ所属の越谷西だ。早々に先制点を失いながらも、常に触れる距離感で守備し、ボールを奪えば相手のプレッシャーを恐れずにワンタッチパスを繋いで前進するなど、スタイルを示して堂々と渡り合うと後半にセットプレーから2得点を奪って逆転勝ちを収めた。熊澤青波主将は「世間では0対100で正智が行くだろうとなっていたところで、俺たちも絶対に負けないぞと」強い思いで臨んだことを明かし、ジャイキリ達成を喜んだ。
準々決勝に進んだのは越谷西、立教新座、浦和南、浦和東、武蔵越生、西武台、細田学園、武南の8校で、インハイ予選からは3チームが入れ替わり。所属リーグの内訳は県1部が3校、県2部が5校となった。また、ここ2年連続でベスト8は私学が占拠していたが、今年は公立3校がベスト8に残るなど健闘。中でもやはり浦和南の存在感は際立っていた。
名将・野崎正治監督のもと今年もよく鍛え上げられたチームは準々決勝で浦和東との“浦和ダービー”を制すると、準決勝では57年ぶりにベスト4に進んだ立教新座を撃破し、3年ぶりのファイナルへ。西武台との決勝も今大会4試合無失点の固いディフェンス陣を中心に耐えながら、延長戦もラスト3分までほぼプラン通りのサッカーを展開した中で最後一瞬の隙を突かれて失点し準優勝に終わったが、チャンピオンチームを最後まで追い詰めた。
今回の選手権を通して改めて「埼玉を勝ち抜くこと」の難しさを実感させられた。また来年も混戦模様となるだろう。昌平は下部組織のFC LAVIDAで全国8強を経験したMF荒井悠汰、MF篠田翼、MF佐藤海空斗らが最高学年となる来年は勝負の年と位置づけているだろう。1、2年生が主体と若いチームで関東予選、インターハイ予選で準優勝を飾った武南も経験値を蓄え、飛躍を狙う。また、8強、4強と階段を上ってきている立教新座、本格強化から6年で3年連続ベスト8の細田学園も人工芝のグラウンドも完成し、今後が楽しみだ。