すべての高校サッカー選手の夢の舞台である全国高校サッカー選手権大会。第100回の埼玉を制したのは西武台だった。決勝は浦和南とのカードに。今大会4試合すべてで無失点を誇る浦和南が堅守を見せる中、西武台は延長後半7分、クロスからDF安木颯汰が打点の高いヘディングで流し込んでこれが決勝点。11年ぶりの冬の全国を決めた守屋保監督は「もう(自分が監督の間は選手権予選での優勝は)ないかと思っていた」としみじみと振り返った。
西武台は選手権出場4回(今回を含む)、インターハイ出場11回を誇る県下屈指の強豪。前回選手権出場時の2010年は県内3冠(関東大会、インターハイ、選手権)を達成し、全国の舞台でもインターハイで4強、選手権で8強入りを果たした。プロ入りを果たした選手も多く、河合竜二、田畑昭宏、清水慎太郎、新井栄聡といったJリーガーを輩出している。
そんな強豪サッカー部も11年間、冬の全国に出られないというのが“魔境”埼玉県の怖さである。今年も選手権予選では多くの波乱があった。最も世間の耳目を驚かしたのはプリンスリーグ関東所属の昌平の早期敗退だろう。一昨年、昨年と全国高校選手権でベスト8。ここ6年連続でプロ選手を輩出しており、今年もMF井野文太、MF平原隆暉が北九州に、DF八木大翔が福島入りを決めた。インターハイ予選では準決勝でその後優勝することになる正智深谷に敗れたが、戦力的にはやはり抜きに出ており、今大会でも優勝候補の一角とみられた。
その昌平に立ちはだかったのが武蔵越生だ。昨年の決勝では昌平に0-3で完敗。「昌平とやって去年の借りを返したい」(井上精二監督)と対戦を望んでいたチームは3回戦で昌平と激突した。序盤から昌平が一方的に攻め込む形となったが、「今年も守備力は去年同様高い」(波田優斗主将)という武蔵越生は粘り強い守備で跳ね返し続け、最後のところでは守護神の関根拓郎が好守を連発。そしてワンチャンスをしたたかに決めきってリベンジを果たした。