4LDKに2人暮らしなので空いている部屋に物を置きたい放題/ビフォー
4LDKに2人暮らしなので空いている部屋に物を置きたい放題/ビフォー

 今までは息子に対して理由も言わずに「こうしたから」と言うことが多かったひとみさん。仕事や家事の大変さでピリピリしていたので、反論する余地を与えていなかったのではと反省しました。お互いに思っていることを言えるようになり、息子の考えていることや日々の成長を感じられるように。

「問題が起きても、話し合えるようになりました。私に対してなんでも言いやすくなったんでしょうね。息子から料理のリクエストも増えましたよ。」

 ひとみさんが片づけの最難関だと思っていたのは、キッチン。冷蔵庫やパントリーからあふれ出ていた物を減らし、吟味を重ねた食器棚を入れて整理すると、料理のしやすさが格段にアップしました。

 以前は45分くらいかかっていた夕飯の準備が30分以内になり、物の管理ができているのでフードロスもなし。ストックを買い込むこともなく、食費が減りました。散らかっていた頃は、ダメな自分に直面しているようで一刻も早くキッチンから出たかったけれど、今ではキッチンにいることを楽しいと感じられます。

 効率がアップしたのは料理だけではありません。リモートが増えていた仕事面でもよい影響が現れました。

「家で仕事をするようになって、パフォーマンスが落ちたと感じていたんです。でも、それは家の中が雑然としていて仕事に集中できなかったからだと気づきました。片づけを通して自分の行動を管理することも学べたのも、仕事に活かせています」

 これまで仕事が大好きで家事も育児も一生懸命だったひとみさんは、片づけが終わったら自分を見つめ直す余裕が出てきました。

管理できる量まで物を減らして暮らしやすい家に変身/ビフォー
管理できる量まで物を減らして暮らしやすい家に変身/ビフォー

「仕事が楽しくて趣味のようなものになっているけれど、私には没頭できるような楽しみがなかったんです。これから、何か楽しいことを見つけます!」

 家の中の散らかりも見えていなかったひとみさんが、自分の生活と将来を見据えて考えられるようになりました。「何かにハマっている人って楽しそうでうらやましい」と話す彼女が、どんなワクワクするような趣味を見つけるのでしょう。私も楽しみです。

 散らかった家の中にいる人は、物理的にも心理的にも視野が狭くなってしまいます。もしその状況で困っているなら、一旦片づけを優先してみてください。てスッキリした環境に自分を置くと、周囲が見渡せ、自分とも向き合いやすくなります。

●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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