フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦に続き、第2戦のスケートカナダ(10月28~30日)でも日本勢が活躍した。男子では宇野昌磨が貫禄の滑りを見せ、女子は渡辺倫果が大逆転V。「りくりゅう」は日本ペアでGP初優勝を果たした。AERA 2022年11月14日号の記事を紹介する。
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大会前の予想通り、男子を制したのは宇野昌磨(24)だった。
ショートプログラム(SP)2位からのスタートになったが、世界王者は慌てない。4種類5本の4回転ジャンプを組み込んだフリー。構成からして別次元で、ジャンプにミスはあったものの、格の違いを見せつけた。
「優勝はうれしいことですけど、僕の現在の実力というのが確かめられた点数だったのかなと思います」
■結果よりも過程に重き
この試合、宇野は「結果」よりもむしろ「過程」に重きを置いていたように思う。
その象徴とも言えるジャンプが、4回転-3回転の2連続トーループだ。
「僕はコンビネーションが下手なんです」
慢心することなく、常に自らの「刀」を研ぎ澄ませていくイメージだろう。SPで失敗したこの連続ジャンプを、フリーではしっかり決めてみせた。
「一つ目(のトーループ)さえ跳べてしまえば、きれいに(連続ジャンプを)跳ぶことができる。1日という短い期間ではあったけど、SPでのトーループ失敗をいろいろ考えた末、『こんな感じなのかな』というのが何となく想像できた」
プログラム全体を仕上げつつも、気になるポイントを押さえていく。シーズン序盤、宇野は自分のペースで歩を進めている。
その宇野に「すごいスピードで成長していて、今年中に世界のトップで戦う選手になる。僕も置いていかれないように頑張らないといけない」と言わしめる選手がいる。
男子2位に入った17歳の三浦佳生(かお)だ。SPは前週のスケートアメリカに続いて首位に立った。
三浦の武器は、スピードに乗った状態で豪快に決める4回転ジャンプだ。軸が多少斜めになっても、氷上へ体をねじ伏せるように着氷してしまう力がある。この能力を三浦は「軸を支配する」と表現する。