東京の一極集中は、今後どうなるのか(撮影/写真部・馬場岳人)
東京の一極集中は、今後どうなるのか(撮影/写真部・馬場岳人)

 先の高橋特任教授が「いつ起きてもおかしくない」と警鐘を鳴らすのが、フィリピン海プレートと北米プレートとの境界に横たわる「相模トラフ」と呼ばれる細長い凹地を震源とする境界型地震だ。1923年の関東大震災も、相模トラフが震源だったと考えられている。

 相模トラフを震源とした地震が起きれば、被害はすさまじい。

 高橋特任教授によれば、Mは8.5。震源が深いため揺れは関東1都6県に及び、東京都江戸川区や台東区といった下町エリア、埼玉県春日部市や同幸手市、群馬県館林市など地盤の軟らかい場所では震度7の激震に見舞われるという。

「5秒周期の長い揺れとなり、高層ビルやマンションは左右に大きく揺れ、頑丈な台地の上に建てられた鉄筋コンクリートの建物も1970年前後に建てられた中層階の建物は倒壊する可能性があります」

鉄道網へのダメージも想定しておく必要はある(撮影/写真部・馬場岳人)
鉄道網へのダメージも想定しておく必要はある(撮影/写真部・馬場岳人)

首都機能分散を考えるべき

 他にも電気、水道、ガスなどライフラインはズタズタになる。交通インフラも寸断され、東海道新幹線や高速道路は地盤が弱い場所を通っているため被害が出る心配があるという。

 さらに高橋特任教授は、相模トラフから南海トラフ、琉球海溝に至るまで、フィリピン海プレートに沿い「連動」して起きる大地震「スーパー南海地震」が起きる可能性が高いと指摘する。その時、首都圏はどうなるのか。高橋特任教授は言う。

「東日本大震災をもとにした試算では、津波だけで47万人が犠牲になります。首都機能は崩壊し、日本経済も根底から揺るがされることにもなります。国家の危機管理上、首都機能分散も真剣に考えるべきです」

(編集部・野村昌二)

AERA 2021年11月29日号より抜粋

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