森本:22年秋の共産党大会で、習近平の3期目が承認されるでしょう。その次は5年後の27年ですが、そのときに4期目になり、5年後の32年まで統治すると、毛沢東の在任期間を追い抜くことができる。これが一つの目標です。
林:以前は毎年のように香港に旅行に行っていましたが、しばらくは行けないな、と思います。そういえばコロナ禍になる前、マカオに遊びに行ったら、香港との境のところでバスから降ろされて、銃を持った中国兵と犬に囲まれて、一人ひとりパスポートを検査されたんです。あのときは本当にコワかったです。
森本:私も今まで中国で国際会議に出ていましたが、これからは、あまり行く気になれませんね。
林:中国は、いつごろ台湾を統一しようと考えているんですか。
森本:アメリカの前インド太平洋軍司令官デービッドソンは「今後6年以内」に起こる可能性があると言いました。6年後は27年です。現インド太平洋軍司令官のアキリーノは「多くの人が考えるより早く起こる」と言っています。一方、ミリー統合参謀本部議長は「この1、2年には起こらない」とも言っています。3人とも結局は、同じことを言っています。
林:というと?
森本:22年2月に北京オリンピックが開催されますので、それ以前は考えにくい。専門家のあいだでは、「オリンピック以降、24年から25年ごろに注意が必要」という見方が強まっています。
林:そうなんですか。
森本:習近平主席が27年に4期目の任期を延長するという野心を持っているとすれば、毛沢東、トウ小平が成し遂げられなかった国家統一を目指すのではないか、ということです。実際、台湾統一は共産党の歴史的任務と言っている。ただ、これから2年ほどは米国を超える軍事力にならないということでしょう。そのための準備はやっているでしょうけど。
林:中国はどういう形で台湾を統一しようと考えているんですか。
森本:日米の専門家が、いろんなケーススタディーをしてきました。ステージが三つあって、中国がその実力をアメリカにも台湾にも見せつつ、牽制する。これが第一ステージで、これはすでに始まっていると思います。盛んに、中国戦闘機や艦艇が台湾の周辺、南側まで取り囲み、ADIZ(防空識別圏)を越えて侵入しています。次世代戦闘機、揚陸艦や空母の建造にも力を入れています。