「この衣装、絶対にドン小西さんに酷評されるよね。面白すぎる。だからクイーンのなかで、フレディが一番好きなんです。フレディって、日本人にわかりやすく言えば、ロック界の新庄剛志さん。彼もいるだけで周囲をワクワクさせてくれるよね」
サンプラザ中野くんは、フレディの輝きと面白さは、ブライアンたちメンバーのバックアップがあったからこそ培われ、育てられたと話す。
「もちろん、ボーカルとして素晴らしいんだけど、それ以上に俺にとってのフレディは音楽うんぬんを超越している存在。見ているだけでうれしくなるアイドルなの」
確かに没後のフレディは、若くして亡くなったことや美声から神格化されたきらいがある。けれど一方でシャイながら、おちゃめで周囲を喜ばせるのが大好きだったチャーミングな人柄はファンにもよく知られている。
そして結成から50年経った今も、ファンのクイーン愛は熱く濃く深い。サンプラザ中野くんが案内役を務める番組「ディスカバー・クイーン」にも毎週、熱烈なメッセージが寄せられるという。
「クイーンがすごいのは、ファンが彼らを好きすぎて、なんでもありなこと。普通は好きなバンドを茶化されたり、パロディーにされたりしたら怒るよね。でも、クイーンは、どんな形でもクイーン的に表現するとファンのみんなが喜ぶんです」
番組でクイーンのコピーバンドのコンテストを開催したときには、浪曲師が朗々と「ボヘミアン・ラプソディ」を歌ったり、鳥が曲の音程で鳴いたり、黄色いジャケットを着て、ヒゲをつけたフレディコスプレの女性たちが「ピアニカ」で演奏する動画が送られてきた。
「クイーンを愛して体に溶け込ませているから、いろいろな表現が出てくる。リスナーもわかっていて、なにをやっても一緒に楽しむ。とくにフレディはカリスマなのに、すごいいじられてもファンは怒らないんです。ホントに不思議。そんなバンド、他にないですよ」
案内役の立場からリスナーのクイーン愛の深さを語るが、展示を巡る姿を見ていると、サンプラザ中野くんも間違いなくその一人だ。映画の「ボヘミアン・ラプソディ」は、応援上映や爆音上映を含め、7回も劇場に足を運んだそうだ。