ステージ衣装や等身大フィギュアも展示 (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
ステージ衣装や等身大フィギュアも展示 (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 今回の会場で目を引くのは、クイーンが初めてショウケース(プロモーション用のライブ)をしたライブハウスやデビューアルバムを制作したトライデント・スタジオ、名盤「オペラ座の夜」の楽曲が制作されたリッジ・ファームの外観を模した通路が設けられていることだ。ちょっとした70年代初期のロンドン観光気分が味わえる。

 サンプラザ中野くんの足が「オペラ座の夜」のレコード展示前で止まった。クイーンを知ったきっかけのアルバムという。

 高校2年生だったサンプラザ中野くんに、クイーンの存在を教えてくれたのは、中学で同級だった文通相手の女の子。手紙の最後に「クイーンって素敵よね」と書いてあった。

「俺も『素敵だよね』って返事を書いたんだけど、じつはクイーンがわからない。このままじゃヤバいと友だちに聞いたら、『バンドだよ』と教えられて。彼が譲ってくれたのが『オペラ座の夜』のレコードだったんです」

 当時のサンプラザ中野くんは洋楽より日本の音楽が好きだった。将来、ロック歌手になるとは夢にも思っていなかった若きサンプラザ中野くんの心を「ボヘミアン・ラプソディ」は強烈に揺さぶった。

「レコードジャケットに写真がないし、女の人が歌っていると思ってました。コーラスとかハイトーンじゃないですか。4人の顔が浮かび上がる『ボヘミアン・ラプソディ』のプロモーション・ビデオを見ても、女性と思い込むくらいだったけど、曲にはめちゃくちゃ興味をひかれて、もう何十回、聴いたかわからない。今でも一番好きなアルバムです」

 楽しそうに巡るサンプラザ中野くんが、ひときわ笑顔になるのが、フレディの映像や思い出の品を目にしたときだ。

 今回の展示では、ファンには「白鷺(しらさぎ)ルック」の愛称でおなじみのプリーツ袖がゴージャスにひらひらする白いパンツスーツ、フレディの胸毛が愛おしくなる銀ラメのレオタード、今となってはステージの去り際におじぎをするフレディの姿に涙してしまう深紅のマントと王冠の衣装を見ることができる。レプリカだが、オリジナルから再現した「公式」の衣装だ。

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